愛の予感/小林政広

冒頭娘を同級生に刺殺された父と加害者の母のインタビュー映像が流れる。その後は起きる、食べる、仕事に赴く、帰宅する、入浴する、食べる、寝る、起きる・・といった一連の行為が殆ど登場人物が発話することの無いこのフィルムの中でまるでミニマル・ミュージックの様に執拗に反復される。見る人によっては次第に苦痛を伴うであろうがこの一切の差異を欠いた反復こそが所謂「生活」と呼ばれるものの本質であり「愛(男女の)」、とやらはその(一見)退屈な反復の中からしか生起しないもしくは反復の中からこそ生起するものだということをこのフィルムは述べている、様に、思う。